わ~い、ご飯だ
半世紀も前の話で恐縮です。
学費が要らない「進学先」を探し、やっと「補欠入学」を果たした
京大医学部付属看護学校での暮らしぶりの続きです。
寮での初めての食事。
食堂へは部屋ごとにまとまって行くことに。
料理のメニューは、上々。
なにせ、田舎の貧乏家庭のイモ娘なんだから、
こんな都会的なおかずがついた食事なんぞ、したことがない。
でも、平然とした態度でごちそうになることにしましたね。
虚勢を張ってです。
初日なので新入生の歓迎会を兼ねていて、
上級生の手で飾り付けられたテーブルに心が弾みます。
献立はちらし寿司とサラダ、それにおつゆ。
当時としては破格のごちそうでしたね。
大きな円卓が6つあって、2部屋のメンバーが座ります。
新入生は1つの部屋に1人。
だから1つのテーブルに2人の新入生がいるわけです。
私は向かいに座った新入生をそれとなく注視します。
自分と比べて賢そうか、いい所の娘さんか、どの地方からの生徒かって。
対する相手もこちらを気にしている様子。
偶然にも目が合って、思わずニコリ。
途端に気が楽になりました。
そして、その子が味方のように思えましたね。
なにしろ先輩たちはとてつもなく大人で、まだまだ気心が知れず、
ピリピリしてましたから。
おごちそうはとてもおいしかったのですが、
今後、上級生にどんな態度で接すればいいのか、
分からい事はどのようにして聞けばいいのかなど、
なんだか胸が締め付けられるような酸っぱいひと時でした。